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犬の慢性表在性角結膜炎の治療効果判定マーカーに関する研究

投稿者:武井 昭紘

犬の眼のトラブルには、自己の免疫機能が介在するものがあり、慢性表在性角結膜炎(chronic superficial keratitis、CSK)が一例として挙げられる。このCSKは、角膜に血管新生を起こし、視界を遮るように炎症(肉芽組織)が広がる疾患であり、免疫抑制剤の点眼が治療の中心となる。しかし、CSKの治癒経過は月単位となり、病変部位が肉眼で確認できなくなったとしても、点眼の継続または中止の判断は非常に難しい(視覚的な角膜の検査所見が主体で、客観的な基準に乏しい)という現状がある。

そこで、ポーランドのルブリン生命科学大学は、以下に示す3つのマーカーを用いて、ジャーマン・シェパード(Gシェパード)のCSKにおける治療効果を評価する研究を行った。同研究には、40匹のGシェパードが参加しており、臨床上健康な16例(コントロール群)、CSKと診断された24例(CSK群)分類され、CSK群には免疫抑制剤を含む点眼薬が使用された。

◆CSKの治療効果を判定するマーカー◆
①好酸球カチオン性タンパク質(eosinophil cationic protein、ECP)
②heat shock proteins 70(HSP70)
③亜硝酸イオン
*CSK群の治療開始前、一定の治療期間が経過した後(5週間、6ヶ月)の3つの時点で、各マーカーの血清中濃度が測定されている。

 

研究の結果、治療開始5週間後では②および③が、6ヶ月後では①②③全てが、治療開始前のCSK群に比較して、数値が有意に低下しており、コントロール群の値に近づいていくことが明らかとなった。このことから、3つのマーカーは、CSKの治療効果判定に有用であると考えられる。今後、研究が進み、上記のマーカーが、点眼治療で症状が落ち着いているCSK症例の「再発予測」にも応用できるようになることに期待したい。

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CSKの再発予測ができるマーカーが確立されれば、犬の眼科疾患における予防医療を発展させるキッカケとなるかも知れません。

 

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