ヒトにおいて肥満は、慢性腎臓病を進行させるリスクとなることが知られている。しかし、犬猫においては、やや話が変わってくる。痩せ型の体型で慢性腎臓病を抱えた犬猫は、標準体型~肥満体型の犬猫より短命であるとされている。
この現象は、obesity paradox(オベシティパラドックス)と呼ばれている。つまり、犬猫の腎臓病を含む慢性疾患では、体重が減ることが良いことではないということである。
しかし、obesity paradoxに反するような研究のデータがある。脂肪の多いフードで肥満体型にした犬において腎機能を観察した実験である。肥満となった犬では、動脈圧、レニン活性、GFRが上昇し、ボーマンの拡張、糸球体および尿細管の肥厚、糸球体の細胞増殖が起きることが判明した。
また、他の研究では、10~40%の体重減少が、UPCの低下、尿比重の上昇、腎臓病マーカーの減少(クラステリン、ホモシステイン、シスタチン)を誘導することが明らかとなった。
以上のことから、疑問が湧いてくる。
「では、慢性腎臓病の犬猫の体重管理は、どうすれば良いのか?」
答えは、標準体型からやや過体重(肥満に該当しない)、9段階のBCSで言えば、4~6程度に調整することが望ましいと考えられる。そこで、AAHAが提唱している栄養評価を用いて食事管理の計画を立てることと副食の管理ツールを使用する(飼育環境でフード以外に摂取する食べ物の管理は重要)ことで、適正体重を維持することが大切である。しかし、急激な体重減少はobesity paradoxを起こすため、推奨されない。ペースは、現在の体重の1%を1週間以上かけて減少させていくことが理想的である。
現在、obesity paradoxの機構は解明されていない。今後の研究が進み、obesity paradoxの詳細が明らかとなれば、腎臓病を含む慢性疾患での治療法が大きく変わったり、予防法が確立されていくかも知れない。

腎臓病での体重管理に明確な指針があると、個体別のオリジナルの対処方法も検討しやすくなると思う。
参考ページ:
http://veterinarynews.dvm360.com/when-obesity-and-chronic-kidney-disease-collide


