ニュース

猫コロナウイルスに対する経口型ベクターワクチンの効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

猫コロナウイルスは、感染した猫の一部に伝染性腹膜炎を起し、死へと誘う危険な病原体である。しかし、このウイルスに対する有効で一般的な治療法は存在せず、予防効果のあるワクチンも流通していないのが現状である。そのため、治療法やワクチンの開発が常に求められているのだ。

 

そこで、中国の大学らは、ヒトアデノウイルス(5型)をベクターとしたワクチンの効果を検証する研究を行った。なお、同ベクターは、猫コロナウイルスのSタンパク質を発現する特徴を有している。また、このベクターをマウスと猫に接種して、抗体のレベルを測定している。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫コロナウイルスに対するベクターワクチンの効果◆
・ベクターは①経口で、または、②筋肉内に接種された
・何れの接種方法でもIgG抗体のレベルが高くなった
・また①ではIgA抗体レベルが非常に高くなった(②に比べてマウスでは4.8倍、猫では2.4倍)
・マウスでは①でIFN-γの産生が増加し、IL-4産生細胞も増えた
・①でベクターを接種した猫に実験的にコロナウイルスを感染させた場合、生存率は100%であった
・未接種の猫の生存率は33%であった
・①によって感染猫の糞便、結腸、直腸におけるコロナウイルスの量が大幅に減少した(生理食塩水を接種したグループと比較)

 

上記のことから、同研究で採用されたベクターはワクチンとして機能し、体液性免疫も細胞性免疫も強化できることが窺える。よって、今後、このベクターワクチンの安全性や副作用について検証され、商業化へ向けた動きに進展することを期待している。

同研究では、①によって感染猫の腸の損傷は最小限に収まることも分かっております(生理食塩水を接種したグループと比較)。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40381605/


コメントする