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スケールを用いて一般家庭で飼育されている猫の衰弱を評価した研究

投稿者:武井 昭紘

動物が衰弱すると、死亡する可能性が高まる。至極当然なことである。では、ここで読者の皆様に問う。衰弱の定義とは何であろうか。オーナーから質問された時に、理解できるように言葉で説明できるだろうか。結論が言えば、定義も説明もかなり難しい。衰弱という状態はイメージできるが、それを言葉や文章にして表現することは至難の業なのだ。しかし、我々は動物医療従事者である。動物の衰弱というものを理論的に把握し、適切な治療を施す立場にあるのだ。果たして、衰弱とは一体何であろうか。

 

冒頭のような背景の中、欧米の大学らは、猫を専門的に診察する動物病院に協力を仰ぎ、獣医師と11歳~20歳の猫のオーナーにアンケートを依頼する研究を行った。なお、同研究では、衰弱を評価するスケールを用いて猫の状態をデータ化している。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫の衰弱に関するデータ◆
A.研究開始時点
・270匹以上の猫のオーナーが回答した
・獣医師から210匹の猫に関するデータを取得した
・両者から回答を得た猫のデータは122件であった(①)
・①のうち37%がオーナーによって衰弱していると判定された
・①のうち42%が獣医師によって衰弱していると判定された
・①のうち23%が両者によって衰弱していると判定された

B.6ヶ月に渡る追跡調査
・118匹の猫の経過が6ヶ月間追跡された(②)
・②のうち54%%が獣医師によって衰弱していると判定された(③)
・②のうち46%が衰弱に該当しないと判定された(④)
・③の20%(13匹)が追跡期間中に死亡した(安楽死を含む)
・④の2%(1匹)が追跡期間中に死亡した

 

上記のことから、本研究で採用されているスケールは、猫の衰弱を評価することに利用できると考えられる。よって、今後、同スケールが普及し、改編され、動物の衰弱なるものを定義する動きが活発になることを期待している。

スケールで評価する項目は認知機能、行動、活動性、体重、BCS、マッスルコンディションスコア、認知機能または摂食行動において説明のつかない変化、慢性疾患の数の8つだとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40078212/


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