膵炎、つまり膵臓に炎症が起きれば、その炎症が全身に広がり全身性炎症反応症候群を起こす可能性がある。また、DICともなれば血栓が塞栓するリスクも上がるだろう。そして、最終的に多臓器不全となる。この一連の現象の中で、心臓もダメージを受けると言われている。実際、ある研究では、猫のリパーゼ活性と心筋トロポニンI濃度は正の相関関係にあるという。そこで、疑問が浮かぶ。猫の膵炎では、心臓に関連するバイオマーカーを治療方針の決定や治療効果判定に用いることはできるのだろうか。
冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学らは、Spec fPLを測定した経歴を持つ猫60匹の血清に含まれる①NT-proBNPおよび②心臓トロポニン Iの濃度を測定する研究を行った。なお、同研究では、Spec fPLの参照値を4.4μg/L以下とし、猫を③参照値範囲内のグループ、④4.5~8.7μg/Lのグループ(膵炎以外の疾患も疑われる)、⑤8.8μg/L以上のグループ(膵炎の可能性が高い)の3つに分けている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆Spec fPLが上昇した猫の心臓に関連するバイオマーカーの変動◆
・25%(5匹)で①が参照値を超えていた
・しかしSpec fPLと①は相関関係になかった
・Spec fPLと②は弱い正の相関関係にあった
・しかし②の濃度は③~⑤の間で有意差は無かった
上記のことから、確固たる統計学的な意味を持ってはいないが、心臓に関連するバイオマーカーは、Spec fPLが上昇した猫で変動することがあると言える。よって、今後、膵炎が疑われる猫の診察に①や②を活用するための研究が更に進み、バイオマーカーとしての有用性が議論されることを期待している。

③~⑤はそれぞれ20匹の猫で構成されております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39285679/


