2週間に渡って発咳を呈する10歳の猫(去勢オス)が、アメリカの動物病院を訪れた。彼は、糖尿病と診断されており、FIVに感染している病歴を持っていた。しかし残念なことに、糖尿病は上手くコントロールできていなかった。身体検査にて、心音と肺音に異常が見つかる。超音波検査では、胸水、左房拡大、左心室肥大が認められ、左室自由壁に低エコー領域の病変が確認された。うっ血性心不全が疑わしい中で、胸水の検査が実施された。
胸水の色は麦わらのような色で混濁していた。大小のリンパ球が主体で、好中球、マクロファージ、形質細胞、反応性中皮細胞も検出された。核分裂像は見られなかったが、腫瘍性の滲出液の可能性が否定できなかった。予後不良と判断され、安楽死となった。病理学的検査で、心臓の広範囲に腫瘍化した円形細胞が浸潤していることが判明した。B細胞リンパ腫だった。
猫のうっ血性心不全を鑑別するリストには肥大型心筋症、甲状腺機能亢進症、高血圧症、慢性腎不全、先端巨大症などが含まれるが、症例を発表したタフツ大学は、FIVがリンパ腫、引いては心不全に関与している可能性があると訴える。同大学は稀だと述べるが、本症例に類似した病態の猫では心臓のリンパ腫について調べる必要があるかも知れない。

臨床検査、病理学的検査の所見につきましては、リンク先の論文をご参照下さい。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2024.1467448/full


