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ステロイド剤の投与と猫の血清中リパーゼおよび膵特異的リパーゼの変動に関する研究

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床で汎用されているステロイド剤は、炎症を軽減する代表的な薬剤である。そのため、膵炎にも適応できるように思うのだが、同薬剤は膵炎のリスクファクターと主張する専門家がいるのだ。果たして、ステロイド剤は膵臓に悪い影響を及ぼすのだろうか。真偽の程を追究し、使用の是非を議論する必要がある。

 

冒頭のような背景の中、チューリッヒ大学は、臨床上健康な猫7匹にプレドニゾロン(1.1~1.5 mg/kg PO 7days)を投与して、彼らの①血清中リパーゼと②膵特異的リパーゼを測定する研究を行った。なお、同研究では、①の参照値を8〜26 U/L、②を0〜3.5 μg/Lとしている。また、両項目は、ステロイド剤投与前、投与1、2、3、8、10 、14日目に測定されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆ステロイド剤の投与と①および②の変動◆
・1日目の①は22 U/L(14 ~ 52 U/L)であった
・1日目の②は3.2 μg/L(2.3 ~ 15.7 μg/L)であった
・1匹の猫において投与1日目の数値が異常に上昇した(①52 U/L、②15.7 μg/L)
・この猫の数値は研究を通して高かった
・この猫を含めても含めなくても投与前後での①と②の変動に有意差はなかった
・全ての猫で健康被害は認められなかった

 

上記のことから、ステロイド剤は猫の膵臓に悪い影響を与えないことが窺える。よって、今後、膵炎の猫にステロイド剤を投与して経過を追跡する研究が進み、同薬剤使用の意義・是非が明確になることを期待している。

猫の年齢は4〜7歳だとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38485220/


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