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細菌性角膜潰瘍を抱えた犬の転帰と多剤耐性菌の関係性をしらべた研究

投稿者:武井 昭紘

人医療における細菌性角膜炎は耐性菌の有無で転帰が変わるとされており、ニューキノロン系抗生剤に耐性を有する細菌が起こした角膜炎では、角膜に瘢痕が形成されてしまうという報告が上がっている。しかし一方で、犬の細菌性角膜潰瘍でも同様の現象が起きるかについては分かっていないのが現状である。果たして、犬の角膜潰瘍の転帰は耐性菌の存在に影響を受けるのか。それを明らかにすることは、小動物臨床における眼科診療の発展にとって重要なことだと言える。

 

冒頭のような背景の中、アメリカおよびイスラエルの獣医科大学らは、Staphylococcus pseudintermediusが分離される角膜潰瘍を抱えた犬の診療記録を、①同菌が多剤耐性ではないグループと②多剤耐性であるグループに分けて解析する研究を行った。すると、28例(眼の数としても28個)のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆細菌性角膜潰瘍を抱えた犬の転帰と多剤耐性菌の関係性◆
・②には30日以内に麻酔をされた個体が有意に多かった
・②は短頭種ではない品種で一般的であった
・潰瘍の深さやサイズには両グループで有意差は認められなかった
・病状が安定するまでの期間、外科手術の必要性、眼球の形状および視力の維持に成功する確率には両グループで有意差は認められなかった
・潰瘍部分に角膜上皮が再生するまでの時間は①よりも②で長かった(1週間程度)

 

上記のことから、多剤耐性菌の存在が角膜上皮の再生を遅らせることが窺える。ただし、他の転帰については、多剤耐性菌が大きな影響を及ぼしてはいないと考えられる。よって、今後、角膜上皮の再生スピードが遅くなる原因について追究され、それを速める治療法の開発と、抗生剤の使用期間・治療期間の短縮化が実現することに期待している。

他の細菌種でも同様の研究が進められることに期待しています。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36504873/


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