低コレステロール血症。コレステロール値が高い場合と比べて遭遇する可能性が低いであろう「この現象」に、皆様はどれ程の注意を払っているだろうか。余り気にされていないだろうか。あるいは、臨床経験の浅い新人獣医師をはじめとして、一部の先生方は『何か問題になるのでは?』と考えてみたことがあるだろうか。もしも、そこに重大な意義があるとしたら、知りたいと思うだろうか—–。
そのような背景の中、カリフォルニア大学は、付属動物病院を訪れた犬猫を対象にして、低コレステロール血症の有病率と死亡率を算出する研究を行った。なお、同研究における低コレステロール血症とは、血清中に含まれるコレステロールの濃度が、犬では2.59 mmol/L(100.15 mg/dL)未満、猫では1.81 mmol/L(69.99 mg/dL)未満と定義されている。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。
◆犬猫の低コレステロール血症の有病率と死亡率◆
・約17000匹の犬と約3800匹の猫が対象になった
・有病率は犬で7%、猫で4.7%であった
・低コレステロール血症の犬猫の死亡率は12%であった
・低コレステロール血症は死亡率の上昇に有意に関連していた
・入院中に低コレステロール血症を発症した犬では死亡率が高くなる
・これは猫に見られない現象である
上記のことから、低コレステロール血症は、その症例の予後を左右する重要な所見だということが分かる。特に、入院中に低コレステロール血症に陥った犬の経過には気を付けるべきと言えるのではないだろうか。皆様が勤める動物病院にて、残念ながら治療の甲斐なく亡くなった症例の中に、低コレステロール血症を呈した個体はどれ程の割合で存在しているだろうか。調べてみると、今までとは違う視点で犬猫の診療に向き合えるかも知れない。

肝臓、胃腸、血液系の疾患に関連して低コレステロール血症が発現することも、本研究で判明しております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32767372/


