犬のパルボウイルス(Canine parvovirus、CPV)感染症は、時折、致死的経過ともなる白血球の減少と重度の消化器症状を呈するウイルス性疾患である。しかし、当該疾患では、罹患個体からCPVを直接的に排除する有効な治療法はなく、症状の緩和を目的とした対症療法が主体となることが一般的となっている。故に、病状が不安定な症例において治療が長期化してしまう場合も珍しくなく、それに伴う入院費や医療費の高騰が、オーナーに大きな経済的負担を強いるという結果を招いてしまうのだ—–。
そのような背景の中、ペンシルバニア大学は、シェルターに付属する低コストの動物病院を訪れるCPV感染症の犬を飼育する世帯のうち、経済的理由により入院加療を選択できない(通院治療を選択した)世帯を対象にして、生存率とリスクファクターを明らかにする研究を行った。すると、80%以上の症例がCPV感染症から回復し、低体温(37℃未満)が死亡リスクを高めるファクターだと判明したとのことである。
上記のことから、そして、オーストラリアで問題となっている「経済的な安楽死」のような事態を避けるためにも、37℃以上のCPV感染症例では、獣医師と経済的な負担を感じるオーナーの間で、入院にするか通院にするかを良く相談し、実際に取り組める「個別の」治療方針を決定することが望ましいと思われる。

今回紹介した研究では、生存する確率を高めるファクターも特定されており、治療前の経過日数が多いこと、治療中に体重が増加することが、それであるとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32096333


