何らかの疾患に罹患した、または、不妊去勢手術を受ける犬猫には、全例ではないが、静脈点滴が適応される場合があり、その際に、輸液剤を流す入り口として、四肢の静脈を確保する留置処置を施すことが通例となっている。この時、大部分の犬猫は、留置針の入った足を気にすることはないのだが、時折、落ち着かないほどに、何をおいても留置が気になってしまう個体に遭遇することがあり、その様子を見るにつけ、『どうすれば良いものか』と気になり、悩んでしまう獣医師も少なくないのではないだろうか。
そこで、解決のヒントとなるかも知れない研究を紹介したい。
昨年の4月、イギリスのブリストル大学が、留置をされた犬の行動を観察する研究を行い、①留置処置のみのグループ(コントロール群)と②留置針の設定された部位にクリーム状の局所麻酔薬を塗布したグループ(EMLAクリーム群)の様子が比較された。なお、同大学によると、①よりも②の方が、留置を気にする行動が有意に減少したとのことで、EMLAクリームが「留置の違和感」を和らげる効果を有していることが示される結果となった。
上記のことから、普段身に着けないカラーやペット服などを極度に嫌がる個体に留置処置を実施する時には、動物福祉の観点に立ち、本研究のように、EMLAクリームなどの局所麻酔薬の使用を検討してみても良いのかも知れない。
参考ページ
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30077554