近年、カリフォルニア州で多発している山火事で犠牲となった動物を救う治療法として、「淡水魚のティラピアの皮」が注目されている。
米オンラインメディア「ヴァイス」への取材によると、カリフォルニア大学デイビス獣医医療教育病院の統合医療責任者で獣医のジェイミー・ペイトン博士は、保護されて病院に運ばれてきた動物の多くは肉球や足にひどい火傷を負っていると語る。
火傷に適用される植皮やその他の治療法は野生動物に施すには費用がかるほか、野生動物に痛み止めを飲ませたり、包帯を巻き、頻繁に取り替えるのは困難だという。
ペイトン博士は数年前、費用対効果の高い代替手段を探し、ブラジルの研究者が実験していた火傷治療にティラピア皮を活用する方法に出会った。この方法なら動物にも適用できるのではないかと考えるに至ったと話す。
まずはティラピアの皮を殺菌。衛生的な意味もあるが、魚の臭いを消すことにも繋がり、動物が舐めたり食べたりするのを防げる。 次に滅菌されたティラピアの皮を傷口の大きさにカットして貼り付ける。そうすることでティラピアの皮は、動物の人工皮膚となり、傷口をカバーし、炎症を抑え、創傷治癒を促すそうだ。
2017年よりボブキャットやクマ、コヨーテ、馬など、13種類以上の動物の治療を通して、3つの事がわかったことだと述べている。
ティラピアの皮が動物の火傷治療に適している理由は大きく3つある。 第1は非常に安価である。第2に創傷治癒に役立つコラーゲンがたくさん含まれている。第3は仮に動物がかじってしまっても、動物の健康に害がないことだという。
実際、顔に大きな火傷を負った馬をティラピアの皮で治療したところ、「通常、治癒するのに6ヵ月かかるところ、魚の皮が最初に移植されてからたった2週間で皮膚の約80%が再生していた」と、UCデイビス獣医医療教育病院は報告している。
動物は痛みを感じるとその部分を舐めたり噛んだりする習性があるが、魚の皮を移植すると「水分とコラーゲンが含まれているため、他の方法よりも、動物が感じる痛みは軽減される。そのため、彼らは舐めたり噛んだりせずに放っておくようになる」。
動物が包帯をかじってしまうと腸閉塞を引き起こす可能性があり、深刻な病気に繋がりかねないが、魚の皮はかじっても、たんぱく質豊富なスナックを口にするようなもの。動物の体に害が無いと話す。
数匹の野生動物をそこまで時間と労力をかけて治療することに意味はあるのかとの声もあるが、「回復した動物は、その後の生物多様性、山の生態系を保つ上で重要な役割を果たします。山火事によって個体数が激減しているのであれば、なおさらです。 そもそも動物たちが恐ろしい山火事にあったのは、彼らのせいではありません。彼らは何が起こっているのかすらわからないままに、傷つけられているのです」と語っている。
皮膚が再生したら、保護された動物たちは元の住処である山へと帰る。数匹のクマにGPS搭載の首輪をつけて経過を確認したところ、クマたちが「巣穴から何マイルも移動しているのを確認できた」。つまり、治療は成功し、以前のように歩行できるようになっていたそうだ。
https://courrier.jp/news/archives/268017/
<2021/11/22 クーリエジャポン>
米カリフォルニア 淡水魚のティラピアの皮を移植 山火事の犠牲動物を救う



