大塚敦子さんの「刑務所で盲導犬を育てる」(岩波書店)は、2009年に日本初の取り組みとして、刑務所で盲導犬訓練を行なう様子が綴られています。
舞台となる刑務所は、島根県にある「島根あさひ社会復帰促進センター」で、犯罪傾向が進んでいないとみなされる、初犯の男性受刑者が収容されている刑務所だ。刑罰の執行など国の権力で行うべきことは除いて、民間のノウハウを活用して運営する「PFI刑務所」で、日本で4番目となる。
盲導犬候補のパピー3頭の成長の様子と、育成を任された受刑者たち。始めての事ばかりで困惑したり、自分の時間を割いて世話をするなど苦悩が続く。
しかし、パピーのやんちゃな行動から忍耐力を覚え、訓練からはチームワークを体感するなど、受刑者の気持ちの変化を本書で読むことができます。パピーへの愛情の芽生えと供に、立派な盲導犬にしたいと目標をもち、パピーが頑張っているのだからと受刑者自身も成長しいく。ぜひ読んでいただきたい1冊です。
『平成27年犯罪白書』によると刑期を全うし出所した人のうち約6割の人が10年以内に、再び罪を犯す“再犯者“となっている。出所した途端に孤立無援になるのがその理由らしい。盲導犬を通して知った他者とのつながり、犬との時間で得る、これから先の心の支えとなる思い出を作れるこの貴重な体験プログラムは、今後再犯によるさらなる被害者を出さないためにも注目したい取り組みと言えるだろう。
<ダ・ヴィンチニュース 8月2日(火)6時30分配信>
『〈刑務所〉で盲導犬を育てる』(大塚敦子/岩波書店)



