犬のバベシア症は、赤血球の破壊(溶血)に伴う致死的経過を辿る寄生虫性疾患であることが知られている。そのため、愛犬がバベシアに感染した場合には、早期診断・早期治療が重要とされている。しかし、当該感染症を診断する院内検査は、顕微鏡(獣医師個人の視覚に依存)による病原体の確認が唯一の手段であり、「見逃し」のリスクを常に抱えている(外部検査機関への依頼には時間を要する)。
そこで、リトアニア健康科学大学は、バベシア属の一種であるBabesia canisを検出するELISA法(院内検査キットとして製品化できる可能性がある技術)の検証を行った。同研究には、①B.canisに感染した犬27例、②臨床上健康な犬22例が参加しており、両群から血液サンプルが採取されて、抗B.canis抗体を用いたELISA法が実施された。すると、①
の全てにおいて検査結果が陽性(感度100%)となり、コントロール群の結果から算出された特異度(感染していないサンプルを正しく陰性と判定する精度)は86.4%であることが明らかとなった。
今後、感度・特異度に関する大規模臨床研究を経て、上記のELISA法が院内検査システムとして確立されれば、時間との勝負となる犬のB.canis感染症を迅速に診断できる獣医療が実現できるかも知れない。

B.canis以外のバベシア属も検出できる院内検査キットが開発されていくことを願っております。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/28807287/


