犬猫の骨肉腫において発生部位が四肢であった場合には、患部の切断手術を行うことで、犬の命を守る選択をすることがある。しかし、足を失った動物のケアは、ペットオーナーの負担を増加させることがあり、両者(犬およびオーナー)のQOLを低下させるリスクを抱える(一部の症例は、残った足で適切なバランスを取る筋力を維持することもある)。そのため、犬の骨肉腫を無症状の段階または発症初期に発見する手法を確立することは、小動物臨床の課題と言える。
そこで、アメリカのアイオワ州立大学は、犬の骨肉腫症例に認められる院内血液生化学検査の異常所見を決定する研究を行った。同研究には、以下の3つのグループが参加しており、血液検査の結果が統計学的に比較された。
◆血液検査所見が比較された3つのグループ◆
①骨肉腫症例:64匹
②外傷に伴う骨折症例:30匹
③臨床上健康な犬:31匹(骨肉腫症例と年齢および体重が近似している犬)
すると、①では、総コレステロール値(TCHO)が参照値である150~275 mg/dLよりも上昇している症例が、半数に近い45%(64例中29例)に及ぶことが明らかとなった。この①における異常所見の割合は、②の10%(3例)と③の6.5%(2例)と比較して、有意に多いことが明らかとなった。さらに、今回の研究で、TCHOの高値は、骨肉腫を起因とした斃死に深く関連していることも判明している。
上記のことにより、TCHOは、犬の骨肉腫の予後を推定する一つの基準・指標として有用であると考えられる。また、今後、研究が進み、TCHO以外の血液検査所見も含めてデータが蓄積され、臨床症状(足を引き擦るなど)を伴わない骨肉腫を「血液で診断する」ことができるようになるまでに発展することに期待したい。

悪性腫瘍を診断するヒントが、院内血液検査の中に隠れているとしたら、様々な異常所見が臨床応用されるように、多くの研究が行われることを願っております。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28660727


