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犬の脊髄損傷を客観的に評価するスコアリングシステム~理解しやすい獣医療のために~

投稿者:武井 昭紘

交通事故などの外傷を原因として生じる犬の脊髄損傷(spinal cord injury、SCI)では、症例により、後躯麻痺、排尿・排便困難などの「多様な症状」を認めるため、QOLを大きく低下させてしまうことは珍しくない。しかし、ペットオーナーの視点に立つと、SCIを客観的かつ具体的なスコアリングシステムは確立されておらず、愛犬の病状をイメージ(理解)しやすいインフォームド・コンセントが提供しづらい現状がある。

そこで、アメリカのノースカロライナ州立大学は、犬のSCIの重症度を表現するcanine spasticity scale(CSS)を作成して、臨床現場への応用が可能であるかについて検証を行った。このCSSとは、後肢の筋緊張・筋痙攣の程度、膝蓋腱反射を19段階(0~18ポイント)で数値化するものであり、今回の研究では、SCIに罹患した犬20例が対象となった。また、供試犬から得られたCSSのデータは、歩行の状態を評価する既存のスケール(歩行スケール)と比較された。

研究の結果、CSSは歩行スケールとの関連性があることが明らかとなり、犬のSCIを客観的に評価できるシステムであることが示された。さらに、犬の年齢、SCIの罹患期間、病変部位により、CSSのスコアは左右されないことも確認されている。今後は、上記のCSSが、SCIの現症状を数値化するだけではなく、SCIの予後を判定することができるように、臨床研究が進められていくことに期待したい。

ペットオーナーが理解しやすい表現やデータについて研究を進めていくことが、獣医学の一分野として発展していくことを願っております。

ペットオーナーが理解しやすい表現やデータについて研究を進めていくことが、獣医学の一分野として発展していくことを願っております。

 

参考ページ:

http://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/ajvr.78.7.854?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed


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