現在、アメリカでは、Zoetis社が主催となって、獣医師と動物看護師の中から「ヒーロー」を決定する総選挙が行われている。この選挙では、まず始めに、アメリカ全土から約200人の候補者がノミネートされて審査が行われ、最終選考に進む10人(獣医師5人、動物看護師5人)が選出されている。そして、2017年7月27日12:00PMまでに、選ばれた10人を対象として、専用ホームページ上にてオンライン投票を受け付けており、1人のヒーロー(獣医師1人、動物看護師1人)を決める予定となっている。
また、上記に記載した10人のヒーロー候補は、動物病院で高度な獣医療を提供していたり、多く論文を発表している研究者に限られておらず、「社会・地域貢献度の高さ」を評価されている人物が含まれていることが特徴的である(以下に10人の実績を示す)。
◆最終選考に残った獣医師5人◆
1.ヒトの癌センターと共同研究を行い、動物(ヒトを含む)の癌の治療法を開発する獣医師
2.獣医師のメンタルヘルスをサポートする組織であるNot One More Vetを設立した獣医師
3.虐待を受けた犬に「自己資金を投じて」整形外科手術を施した上に、新しい飼い主の家まで「自らが操縦する」飛行機で無償で送迎するサービスを提供した獣医師
4.シェルターで生活する5000頭の動物のケアおよび年間4000件前後の不妊・去勢手術の実施をするとともに、動物虐待に関する刑事裁判の証言を担当する獣医師
5.アメリカ南西部(獣医療サービスが乏しい地域)でのアメリカ先住民も対象とした動物病院経営に取り組み、多様な動物種(犬、猫、豚、ウサギ、ウマ)に対して5万件の不妊・去勢手術を行った獣医師
◆最終選考に残った動物看護師5人◆
1.先天性疾患(口蓋裂など)を抱えた100匹以上の犬の世話を行いながら、安楽死以外の対応法を模索している動物看護師
2.動物看護師養成プログラムおよび不妊・去勢手術プログラムを開発して年間6000件の動物の救命を達成した動物看護師
3.南アメリカおよび太平洋諸島において、野外で行う外科手術法を普及した動物看護師
4.ロサンゼルスのシェルターの高い安楽死率(80%)を改善するために「自己資金を投じて」犬を引き取るとともに、Canine Confidence Programによるシェルターの支援に携わった動物看護師
5.テキサス州のシェルターで唯一のフルタイムスタッフとして1日最大200匹の動物をケア・治療して、安楽死の件数を減らした動物看護師
彼らのうち、最多得票数を獲得したヒーローは、9月16日に、ビバリーヒルトン(ビバリーヒルズにある4つ星ホテル)において行われる授賞式に招待されるとのことである。
日本の獣医療業界では、獣医師および動物看護師は「特定された動物病院・企業・研究機関」で勤務することが多いと思われる(転勤はあるとしても同一組織内である)。今後、記事で紹介したような総選挙が日本でも行われるようになれば、「場所や組織に縛られない」道を開拓して広範囲の地域または国際社会に大きな貢献を果たす獣医師や動物看護師が増えていくことが期待できる。

組織に縛られることなく、動物の利益のみを考えて活動する獣医師・動物看護師にクローズアップするイベントを開催することで、獣医療サービスは、考えも及ばないような新たなステージへと発展していくのではないでしょうか。
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