ヒトの健康保険(国民皆保険制度)とは異なり、ペット保険は任意であるため、臨床現場で保険未加入のペットに遭遇することは日常的な出来事と言える。そして、保険未加入のペットが病気になり動物病院を受診した結果、総合的な精査、入院、外科手術となれば、高額な治療費が必要となることも珍しくなく、一括払いが出来ないペットオーナーから「治療費の支払いに関する相談」を受けることがあるかと思う。この時のペットオーナーの心境を察すると、おそらく、ペットに適切な治療をさせられない悔しさ、治療費を払うことでの日常生活の経済的圧迫への恐怖感などを感じているかも知れない。
また、相談をされる側の動物病院においてクレジットカード決済が導入されていない、ペットオーナーがクレジットカードを持っていないなどの状況となれば、「動物病院の裁量による分割払い」という話合いとなることが推測される。しかし、動物病院独自の分割払いには、治療費の不良債権化(未払いの長期継続、踏み倒しなど)というリスクが潜んでおり、日本を含む世界各地で問題となっている。これは、動物病院の院長または経営陣にとって、大きなストレスを抱える要因となるのではないだろうか。
そこで、イギリスのスティーブンストンにあるCarefreeCredit社は、動物病院とペットオーナーの「治療費に関する不安・リスク」を仲介する決済サービスを提供している。同社は、オンライン(ペーパーレス)にてサービス利用の申請を受け付けており、24時間体制で審査が行われいる(所要時間は5分程度とのことである)。審査の結果、申請が受理されると、ペットオーナーが一括払いが出来ない治療費をCarefreeCredit社が立て替えて、動物病院へと支払うシステムとなっている(未払いの治療費が不良債権化する可能性が消えるということである)。その後、CarefreeCredit社とペットオーナーの間で、以下の条件の中で返済プランが作成される流れとなる。
◆CarefreeCredit社の返済プラン◆
1.利用可能額:250~25000ユーロ(約3万~300万円)
2.分割払いの期間:6ヶ月~3年
3.利率:年利0~14.9%
上記のサービスにより、「不良債権化を避けたい動物病院」と「分割払いで経済的負担を細分化したいペットオーナー」を繋げることが実現して、両者が共通してイメージしている「ペットの命を助ける診療」がスムーズに進められることになる。今後、同様のシステムが日本にも導入されるようになれば、治療費がネックとなり動物病院に来院できないペットが減少することが期待できる(最終的には、不良債権のリスクの解消に留まらず、来院件数増加に伴う増収となるかも知れない)。

近い将来、獣医療の提供(動物病院)と治療費の回収(信販会社)の完全分業化が一般的となる社会が現実となるかも知れません。
参考ページ:
http://www.carefreecredit.co.uk/


