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犬の骨折治療への応用に期待~ミニブタの骨癒合不全モデルにおける遺伝子治療~

投稿者:武井 昭紘

犬猫の骨折治療において、感染、炎症、外科器具(ピン、プレート)などが原因となって、患部が治癒経過を辿らない現象(骨癒合不全)が起きる場合がある。このようなケースが人医療で発生すると、再手術または骨再生医療((獣医医療でも同様)、骨移植術が検討されるが、再生医療では幹細胞の生着不全が、自己由来の骨の部分的な移植では骨量の減少・不足(移植片を作製した骨および骨癒合不全を起こした骨)が、そしてドナーからの骨移植では拒絶反応が問題点となり、治療経過が望ましくない状況となる可能性がある。

そこで、イスラエルのヘブライ大学、アメリカのロチェスター大学およびカリフォルニア大学などが協力して、新しい骨折治療法を開発することが試みられた。この研究には、ペットとして飼育されていることもあるミニブタが用いられて、骨癒合不全を想定した人工的な骨折をミニブタの脛骨に作製して、骨折部位にコラーゲンを伴った間葉性幹細胞移植する形式が採用されている。さらに、移植処置から2週間後には、骨形成タンパク質(bone morphogenetic protein-6、BMP-6)をコードするプラスミドDNAを患部に注入させる操作が実施され、幹細胞がプラスミドを効率よく取り込めるようにするために、プラスミドと同時に注入したマイクロバブルを超音波を用いて振動させる手技が施された。

その結果、全てのミニブタ(骨癒合不全モデル)において、術後6週間で骨折が治癒することがCT検査で明らかになったとのことである。また、治癒経過を辿った患肢は、生体力学的な解析によって脛骨としての機能を維持できることも確認されている。

今回の研究を基にして、犬の四肢骨の骨癒合不全での「幹細胞とプラスミドの併用療法」に関する研究が進み、小動物臨床に応用されることに期待したい。

疾患の治療に有用な成分を発現できるプラスミドDNAを様々な組織の細胞に取り込ませることが可能となれば、骨癒合不全以外の再生医療も進展させることができるかも知れません。

疾患の治療に有用な成分を発現できるプラスミドDNAを様々な組織の細胞に取り込ませることが可能となれば、骨癒合不全以外の再生医療も進展させることができるかも知れません。

 

参考ページ:

http://stm.sciencemag.org/content/9/390/eaal3128


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