犬猫の疼痛管理には、NSAIDまたはオピオイド鎮痛薬を使用することが通例であるが、肝・腎への負担や神経系への作用(鎮痛以外の期待しない効果)が副作用として問題となる場合がある。そのため、長期使用での注意点(消化管潰瘍のリスク、定期的な血液検査の推奨)や一般状態の変化(呼吸抑制、嘔吐、便秘)などを慎重にチェックすることが重要となり、ペットオーナーの性格・考え方によっては、ペットの疼痛管理が上手くいかないケースもある。そこで、アメリカおよびヨーロッパ(イギリス)でペット関連用品を販売しているVeterinary Products Laboratories(VPL)社が、牛乳から抽出した成分による疼痛管理ができるDuralactin®という製品をリリースしている。
Duralactin®は、多価ワクチンを接種された牛の乳汁中に分泌される抗炎症因子(hyperimmune milk factor、HMF)の一種であるマイクロラクチン(MicroLactin)を主成分としている。このマイクロラクチンは、炎症性サイトカインの抑制、血管内皮細胞における接着分子のダウンレギュレーション、好中球の遊走の抑制などの作用があり、疼痛がある患部の炎症が長引かせないことで、病態の悪化を防ぐとされている成分である。
現在、Duralactin®はサプリメントに分類されており、動物用医薬品(NSAID、オピオイド鎮痛薬など)よりも副作用が少ないことが期待できる。今後、欧米でDuralactin®の効果が認められ、多くの臨床データが蓄積されることになれば、日本においても、「副作用の少ない長期の疼痛管理」が実現するかも知れない。

ヒトを含めた動物が体内で合成する成分が、疼痛管理に効果を発揮できると認められれば、副作用の懸念が大きく改善され、ストレスの少ない獣医療が実現すると思います。
参考ページ:
http://www.vpl.com/all-products/inflammation
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1456182?dopt=Abstract


