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今までのレプトスピラ症の疫学が通用しなくなる未来

投稿者:武井 昭紘

犬のレプトスピラ症は、L.canicolaまたはL.icterohaemorrhagiaeの感染に伴う溶血性疾患および腎障害を主症状としている。この感染症は、ワクチン接種により予防することが可能とされている。しかし、最近のレプトスピラ症の疫学が変化しつつあるため、今までのレプトスピラ症と「これからのレプトスピラ症」を区別する必要が出てきた。そこで、以下に「今まで」と「これから」の相違点を記載し、今後のレプトスピラ症への対策を考えていきたいと思う。

 

<今までのレプトスピラ症>

・農場や自然豊かな環境で飼育されている犬に感染リスクがある。

・L.canicolaまたはL.icterohaemorrhagiaeが主な病原体である。

・症状は無症状で経過する症例から溶血性疾患(黄疸、血尿)および腎障害を認める症例まで様々である。

 

<これからのレプトスピラ症>

・都市部で生活する6.8kg(15ポンド)未満のテリア種に多い。

・L.grippophytosa、L.pomona、L.bratisravaの感染に伴う症状が発現する。

・80~90%の症例で急性腎不全を起こし、倦怠感、元気消失、食欲不振、嘔吐、発熱、脱水、多飲多尿を呈する。

・L.grippophytosa、L.bratisravaに感染した場合の生存率は、80%である。

・L.pomonaに感染した場合は、50%の生存率となり、致死的経過をとる可能性が高くなる。

 

上記のことから、レプトスピラ症の疫学は大きく変化している。そのため、レプトスピラ症を予防する必要のあるのは、完全室内飼育を除いて、全ての犬が該当することになる(散歩をするのであればレプトスピラ症の予防が重要ということである)。また、ある研究では、都市部のネズミの90%がレプトスピラのキャリアとなっており、ネズミの尿で屋外が汚染されているとされている。

さらに、地球温暖化を原因とした洪水が増加し、野生動物の生息域の都市化が進むことが予測されている。そのため、愛犬がキャリアであるネズミ(ネズミの尿を含む)に接触する機会が増えることが考えられる。今後は、レプトスピラ症に限らず多くの感染症が、今までの疫学を捨てて、「新たな疫学」を確立しなければならない状況になるかも知れない。

都市が広がりを見せ、地球温暖化が進めば、レプトスピラ症が流行する未来も近づくことになるのかも知れない。

都市が広がりを見せ、地球温暖化が進めば、レプトスピラ症が流行する未来も近づくことになるのかも知れない。

 

参考ページ:

http://veterinarymedicine.dvm360.com/changing-face-canine-leptosporosis

 


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