臨床現場で仕事をしていると、非常に良く見る典型的な症例の中に、何が起きているのか不明な現象を持っている症例がいることに気がつくと思う。そのような「謎」の症例は、自分一人で解決することができない場合もあり、同様の経験をした獣医師や専門家の意見などが答えへと導くことになることもある。そこで、今回は、一つの「謎」を紹介したいと思う。仮に、どこかに同様の経験をした獣医師が居て、疑問を抱えたままであるなら、この記事が答えになると幸いである。
症例は、こちらの画像にある通りで、歯肉に毛が生えている。どんな疾患が思い浮かぶだろうか?画像が掲載されているページには、選択肢が記載されている。
1.歯肉に生えている毛(Subgingival hair)
2.奇形腫(Teratoma)
3.エナメル形成不全(Enamel defects)
4.歯の叢生(Tooth crowding)
5.エプリス(Epulis)
上記のような症例に遭遇した場合、最も疑うべきは、皮膚疾患である。つまり、歯肉に毛が生えているように見えるくらいにグルーミングをしているという事になる(答えは1であり、和訳のニュアンスの相違はご容赦願いたい)。頻繁なグルーミングをする原因は、アトピー、毛包虫症、ノミアレルギーなど様々である。
治療は皮膚疾患の原因に対するものは勿論であるが、歯肉に対する治療も必要となる。なぜなら、歯肉に被毛が付着している状態が続けば、歯周病(歯肉炎、歯垢、歯石など)を惹起してしまうからである。重度の歯周病となれば、皮膚疾患が原因でありながら、抜歯をする必要が出てきてしまう。
今回の症例を考察すると、「痒みの強い皮膚疾患では歯周病に注意することが重要である」ということになる。今後、臨床現場において、同様の症状を認める犬を診察した場合には、「歯と皮膚の関係」に注目していくと良いかも知れない。また、ペットオーナーには日常的な口腔内ケアを指導することをお薦めしたい。

歯のトラブルだと思っていたら、実は皮膚が原因ということもあるようです。関係なさそうな疾患どうしを関連付けて考えることも必要かも知れません。
参考ページ:
http://veterinarymedicine.dvm360.com/image-quiz-when-dogs-teeth-are-hairy-problem?pageID=1


