2歳齢のワイヤーヘアード・ダックスフンド(不妊メス)が、イギリスの動物病院を訪れた。何でも、4週間に渡る後肢の脱力と疼痛があるという。しかし、ある事実を除いて、血液検査や内分泌検査に特記すべきことは無かった。中程度の高コレステロール血症と高トリグリセリド血症を除いては。一体、彼女の身に何が起こっているのだろうか。
脊椎疾患を疑って治療が行われた。だが、症状が解消されることはなかった。心臓疾患に焦点が当てられる。ホルター心電図で24時間の監視体制を整え、血清中トロポニンI濃度の測定を試みた。無論、他にも心臓の検査はあるのだが、それをオーナーは希望しなかった。監視体制の中で、心停止が発生。心肺蘇生はできなかった。突然死と言える状況であった。ホルター心電図には、徐脈、房室ブロック、STの異常が記録されていた。心筋梗塞、あるいは、冠動脈の異常が疑わしかった。
剖検の結果、異常は心臓だけではないことが判明した。冠動脈、大動脈、頸動脈、内胸動脈に加えて、腎臓・脊椎に分布する血管にアテローム性の動脈硬化が認められたのだ。また、心臓の線維化と壊死も発覚した。
論文を発表したイギリスの大学らは、本症例を原発性高脂血症と位置づけ、動脈硬化は当該疾患に起因している可能性が高いと述べる。果たして、高脂血症に伴うアテローム性の動脈硬化は、どれくらいの割合で犬に発生しているのだろうか。今後、有病率を算出し、予防法や治療法を考案する研究が進み、突然死を招く可能性のある犬の動脈硬化に関する診断アルゴリズムが確立されることを期待している。

大学らは、根本的な原因の特定には至らなかったため、原発性高脂血症と診断しております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39951920/


