何らかの理由で消化管を切開する手術を適応する時、術後に注意を払うべきことの一つに「術野の裂開」が挙げられる。そのため、この裂開を起こすリスクファクターについて知り、対策を講じることが重要とされているのだ。では実際のところ、リスクファクターにとは一体何であろうか。また、そのファクターを避けることはできるのだろうか。
冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物病院らは、異物の摘出のために消化管の切開術・切除術を受けた犬猫を対象として、彼らの診療記録を解析する研究を行った。すると、300例以上のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。
◆術野の裂開とリスクファクター◆
・犬の7%、猫の10%で腸の穿孔が確認された
・犬の約3%、猫の約7%で敗血症性の腹膜炎が起きていた
・犬に適応された術式は下記の通りである(胃切開術と同時に受けた術式)
①腸切開術(症例の20%)
②複数箇所の腸切開術(4%)
③腸切開術と腸吻合術(0.4%)
④脾臓摘出術(4%)
⑤その他(18%)
・猫にに適応された術式は下記の通りである(胃切開術と同時に受けた術式)
①腸切開術(10%)
②複数箇所の腸切開術(10%)
③腸吻合術(6%)
④その他(3%)
・術野の裂開を示す証拠は得られなかった
・ただし術後に敗血症性の腹膜炎を起こして安楽死となった症例が2件存在している
・しかし何れの症例も試験開腹や剖検を実施していないため裂開の証明には至らなかった
・これらの症例には腸吻合術が適応されていた
・仮に裂開が起きていたと仮定すると、裂開率は0~0.66%となった
上記のことから、本研究に参加した症例における裂開率は低いと言える。一方で、「推定の裂開」を起こした症例には腸吻合術を適応していたことから、同術式には相応の裂開リスクが伴うことが考えられる。よって、該当する術式を実施した症例の術後管理では、術野の裂開に細心の注意を払って頂けると幸いである。

犬は271例、猫31例で構成されております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39842098/


