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末梢の静脈に設置される留置に起因する合併症とそのリスクファクター

投稿者:武井 昭紘

留置処置は、何らかの病気を治療するために輸液剤や薬剤を確実に静脈内に投与するべく、一般の動物病院で広く利用されている。そのため、この留置処置に纏わるトラブルや合併症は、多くの獣医師が経験するものになっているのだ。そこで、疑問が浮かぶ。どのような要因が、トラブルや合併症の火種になっているのだろうか。そして、その火種は予防できるものなのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、イギリスの動物病院らは、過去1年間(2022年1月~2023年1月)に同国の高次診療施設を訪れ、且つ、留置処置を受けた犬猫を対象にして、彼らの治療経過を調べる研究を行った。なお、同研究では、合併症の発生状況を明らかにするにあたり、24時間以上留置処置が継続していた症例を抽出している。すると、19軒の診療施設から380例以上のデータが集積され、以下に示す事項が判明したという。

◆末梢の静脈に設定される留置に起因する合併症とそのリスクファクター◆
・症例の約85%は犬、約15%は猫であった
・留置処置に至った最も多い理由は静脈内輸液と静脈内に薬剤を投与することであった
・母集団の約27%に合併症が発生した
・良くみられる合併症は四肢の腫れ、静脈炎、留置針の脱落、犬猫が留置処置を外すことであった
・リスクファクターは下記の通りであった
①留置処置を2回以上試みること
②入院中に2回以上留置を設置すること
③不定期のフラッシュをすること(1~24時間ごとの定期的なフラッシュと比べて)
④フラッシュ用の液体として乳酸ナトリウムを使用すること

 

上記のことから、リスクファクターに列挙した行為が合併症の発生に繋がっていることが窺える。よって、留置処置は1回で済ませること、入院中に留置を再設定しなくて済むように固定をすること、定期的にフラッシュをすること、乳酸ナトリウムをフラッシュに使用しないことに対して、細心の注意を払って頂けると幸いである。

大学らは、定期的にフラッシュをすることを重要視し、そして、生理食塩水またはヘパリン添加生理食塩水をフラッシュに使用することを推奨しております。

 

参考ページ:

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jsap.13782


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