好中球減少症は、免疫力の低下や敗血症、SIRSを示唆する所見であり、最悪の場合、死を招く病的現象である。一方、話は変わるが、犬の急性下痢症候群(acute hemorrhagic diarrhea syndrome、AHDS)は突然の下血を伴う消化器疾患で、一部の症例は入院するも亡くなってしまう危険な病気とされている。そこで、疑問が浮かぶ。当該疾患と好中球減少症には何らかの関連性があるのだろうか。特に、死亡リスクについて検証する必要がある。
冒頭のような背景の中、イギリスの動物病院は、過去7年間(2017〜2022年)においてAHDSと診断された犬の診療記録を解析する研究を行なった。すると、50匹以上のデータが集積され、以下に示す事項が明らかなったという。
◆犬AHDSと好中球減少症◆
・52%の症例が治療期間中に好中球減少症に陥った
・17%(9例)の症例が死亡した
・死亡した症例のうち8例は好中球減少症であった
・好中球減少症は有意に死亡リスクを上げた
・好中球減少症の有無は入院期間に影響しなかった
・入院時に好中球減少症を認めた症例はSIRSの基準を満たす可能性が有意に高かった
・SIRSの有無は死亡リスクと関連していなかった
上記のことから、AHDSの犬で好中球減少症が認められることは一般的で、その好中球減少症は死亡リスクを上げることが窺える。よって、好中球の減少を食い止めるために有効な治療法について議論され、AHDSの救命率が向上することを期待している。

症例のデータは民間の高次診療施設1軒分だとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39831443/


