救急外来に動物が運ばれてきた時、その個体を助けられる可能性について探る必要がある。特に、治療しても助からない、あるいは、生存が難しいとなれば、オーナーと今後(喫緊)の方針を慎重に、且つ、迅速に話し合わなければならないのだ。そこで、疑問が浮かぶ。診察を開始して一番に把握するであろうバイタルサインや身体検査所見から、転帰を予測することはできるのだろうか。
冒頭のような背景の中、ヨーロッパの獣医科大学らは、救急外来に搬送されてICUに入院した猫の体温に着目して、彼らの転帰との関連性を調べる研究を行った。なお、同研究では、体温を①正常(37.8~39.7°C)、②高体温(39.8℃以上)、③軽度な低体温(36.8~37.7°C)、④中程度の低体温(35.6~36.7°C)、⑤重度の低体温(33.1~35.5°C)、⑥重篤な低体温(33℃以下)の6つに分けて解析している。また、様々な疾患を第一にSIRSの有無で振り分け、SIRSが認められない場合は3つのカテゴリー(泌尿器系、心血管系、その他)、認められる場合は4つのカテゴリー(泌尿器系、心血管系、外傷、その他)に細分化している。すると、1400匹を超えるデータが集積され、以下に示す事項が明らかなったという。
◆救急外来に搬送されて入院した猫の体温と転帰の関連性◆
・入院中に死亡する確率は約22%であった
・59%の症例が①に該当した
・約6%の症例が②に該当した
・約35%の症例が③〜⑥に該当した
・生存した症例の平均体温(38.2℃)に比べて死亡した症例の平均体温(35.4℃)は有意に低かった
・生存できない可能性(死亡するリスク)は低体温が重くなる程に高くなった
・敗血症は低体温と死亡リスクの上昇に関連していた
上記のことから、救急外来に搬送されて入院した猫の低体温は死の転帰と関連していることが窺える。よって、条件に合致する症例の診察では集中管理を必須とし、死亡する可能性と治療方針についてオーナーと充分に話し合うことをお薦めする。

SIRSに心血管系の疾患が併発すると、死亡リスクが有意に増加したとのことです(約8.3倍)。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39808126/


