犬の副腎皮質機能低下症(hypoadrenocorticism、HA)を診断・除外するにあたり、安静時のコルチゾール濃度が2.0μg/dLを超える場合には当該疾患が否定できるという。しかし、当該疾患の犬と他の疾患の犬におけるコルチゾール濃度はオーバーラップしていると言われている。つまり、同濃度だけを頼りにHAを診断・除外することは難しいのである。では如何にして、それを実現するか。何らかの指標が必要だと思われる。
冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、安静時のコルチゾール濃度が2.0μg/dL未満であり、且つ、ACTH試験を受けた犬90匹以上を対象にして、彼らの臨床検査所見を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆HAの犬に見られる特徴的な所見◆
・母集団の約32%がACTH試験でHAと診断された(①HAグループ)
・②HAではないグループに比べて①では急性の消化器症状、食欲低下、元気消失が多く見られた
・また①ではCRE、BUN、ALT、Kが高く、ALB、Na、Na/K比が低かった
・食欲低下、元気消失、ALB低下、Na低下はHAを診断するための因子であった
上記のことから、コルチゾール濃度の他に、HAを疑うキッカケになる臨床検査所見が存在することが窺える。よって、今後、これらの検査項目を利用した際の診断精度を算出する研究が進み、犬のHAに関する診断アルゴリズムが再編成されることを期待している。

母集団のデータは、2018年1月~2022年3月の間に2軒の高次診療施設を訪れた犬から得ています。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39764376/


