前肢に重度の跛行を認めるとして、9歳の犬(不妊メス)が韓国の動物病院を訪れた。残念ながら経過が良くなかったようで、生前に原因を突き止めることはできず剖検が行われた。すると、肝臓は肥大しており、前肢の筋肉には出血性病変が存在していることが判明した。果たして、彼女の身に何が起こっていたのだろうか。
病理組織検査にて、肝臓や筋肉を含む複数の臓器の状態が観察された。肝臓、前肢の筋肉、脾臓、リンパ節に加えて、腎臓にも鉄成分と思しきものが蓄積していることが分かった。分布しているマクロファージ、実質細胞の双方に鉄が沈着していたのだ。そして、その影響か、肝臓と前肢の筋肉には重度の壊死と軽度の線維化が生じていた。また、筋肉では萎縮も炎症も起きていた。
症例を発表した慶北大学校は、本病態をヘモクロマトーシスに伴うミオパチーと位置付けた。つまり、鉄の代謝異常によって鉄の過剰症が生じ、筋委縮と筋炎が続発したと考えたのだ。この病的現象は、これまでに報告されたことはないという。果たして、謎の跛行を呈する犬において、どれくらいの割合でヘモクロマトーシスが起きているのだろうか。今後、調査が進み、治療法・予防法が確立されることを期待している。

今回紹介した症例のヘモクロマトーシスは、後天性(遺伝性ではない)だと推定されております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39749379/


