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ヨーロッパ9ヶ国の一次診療施設で行われている犬のクッシング症候群の診断状況

投稿者:武井 昭紘

犬の内分泌疾患であるクッシング症候群を診断しようとする時、読者の皆様はどのような考えのもとで動いているだろうか。疑わしい主訴、臨床症状、臨床検査所見が得られた場合に当該疾患を鑑別リストに追加するだろうか。あるいは、見逃しや誤診を恐れ避けるあまり、スクリーニング的に内分泌機能検査を進めるだろうか。それとも、全てを専門医に任せるだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、欧州9ヶ国で小動物臨床(一次診療)に従事する獣医師を対象にして、犬のクッシング症候群の診断について聴き取る研究を行った。すると、2100件以上の回答が得られ、以下に示す事項が明らかになったという。

◆ヨーロッパ9ヶ国の一次診療施設で行われている犬のクッシング症候群の診断状況◆
・回答者全体(①)の98.7%(②)が当該疾患が疑われた時点で内分泌機能検査を実施していた
・1.2%は診断的治療をしていた
・②の59.9%は疑わしい臨床症状が無い状況でもクッシング症候群に合致する臨床検査所見があれば内分泌機能検査をしていた
・②の66.6%は主訴や臨床症状に関わらずスクリーニング的に内分泌機能検査をしていた
・最も多用されている内分泌機能検査はACTH試験であった
・次いで低用量デキサメタゾン抑制試験(③)が続いた
・かかる医療費に制限が無い場合は獣医師は疾患の鑑別に積極的であった
・その際に腹部超音波検査と③が選択される可能性が高かった
・①の69.8%は過去5年間にクッシング症候群と診断された(または疑われた)症例の20%以下を専門医へ紹介した

 

上記のことから、大学らは懸念を述べた。獣医師の実に60%以上が疑わしい臨床症状が無い状況下で内分泌機能検査を実施していることは、クッシング症候群という診断が過剰に行われる(クッシング症候群ではない犬が多く当該疾患と診断される)リスクを孕んでいると。よって、この懸念が現実のものとならないように、犬のクッシング症候群に関する診断の流れについて、動物病院ごとに、獣医師個々人の中で、整理して頂けると幸いである。

本研究を発表した大学らは、クッシング症候群の診断を目的とした検査の内容は獣医師ごとに異なると述べいます。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39588837/


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