犬の特発性てんかんは文字通り「特発性」、つまり原因不明の神経系疾患である。しかし一方で、人医療に眼を向けると、抗てんかん薬が効かない「てんかん」患者の一部において免疫介在性の原因があると疑われており、実際、脳脊髄液中にオリゴクローナルIgGバンド(正常な脳脊髄液中には検出されない)なるものが検出されているのである。また近年、犬の自己免疫性脳炎が報告されている。つまり、特発性(原因不明)に分類された犬の「てんかん」の一部は、免疫疾患である可能性があるのだ。
冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学および動物病院らは、特発性てんかんを診断された犬80匹以上を対象にして、彼らの脳脊髄液からオリゴクローナルIgGバンドの検出を試みる研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆特発性てんかんを抱える犬の脳脊髄液の解析◆
・症例の約16%からオリゴクローナルIgGバンドが検出された
・抗てんかん薬が効かない症例に限るとその割合は約21%に上昇した
・抗てんかん薬が有効な症例では約13%であった
・しかし両者の割合に統計学的な有意差は無かった
上記のことから、特発性てんかんの犬の一部では、脳脊髄液中にオリゴクローナルIgGバンドが存在することが窺える。よって、今後、この現象の臨床的意義について研究が進み、抗てんかん薬が効かない特発性てんかん(当該疾患の犬の33%には抗てんかん薬が効かないと言われている)の管理をより深く理解できるようになることを期待している。

本研究は、抗てんかん薬が有効な症例56件、効かない症例28件で構成されております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39715535/


