肝臓に何らかの病気が存在している時、血液凝固系に異常が生じる場合がある。そのため、肝臓疾患では凝固系検査をする必要がでてくることがあるのだ。そして、その必要性は、出血のリスクを避けられない外科手術を検討している時に取り分け高まるのである。そこで、疑問が浮かぶ。肝臓の疾患、例えば腫瘍において、凝固系検査に異常をきたしているケースはどれ程あるのだろうか。
冒頭のような背景の中、アメリカの大学らは、原発性肝腫瘍の外科手術(肝葉切除術)の前に凝固系検査を受けた犬350匹以上の診療記録を解析する研究を行った。なお、同研究では、PTおよびAPTTの2つの凝固系検査が実施されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆原発性腫瘍のために肝葉を切除した犬の術前における凝固系検査◆
・約21%の症例でPTまたはAPTTの延長がみられた
・約6%の症例でPTとAPTTの両方が延長していた
・血管肉腫のみがPTとAPTTの両方が延長することに関連していた
・その他の腫瘍で重大な止血異常を認める可能性は低かった
上記のことから、大学らは、腹腔内出血あるいは血管肉腫の疑いが強い症例を除くと、原発性肝腫瘍の術前検査として凝固系検査を必須とする根拠は乏しいと述べる。よって、個々の動物病院における方針を加味した上で、凝固系検査を術前スクリーニング検査に含めるか否かを改めて話し合って頂けると幸いである。

本研究には、8軒の大学付属動物病院が参加しております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39149870/


