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タンパク尿を伴う慢性腎臓病の犬に対するACEiとARBの効果を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

慢性腎臓病の犬に起きるタンパク尿は、高血圧症の治療薬である①アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)や②アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)によって治療される。そこで、疑問が浮かぶ。両薬剤はレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 (RAAS) をターゲットとしていることは変わらないが、作用するポイントは異なる。ならば、①と②の効果に差は出るのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学らは、③タンパク尿を伴う慢性腎臓病の犬36匹と④臨床上健康な犬20匹を対象にして、RAASに関連したアンジオテンシンの代謝産物の濃度を測定する研究を行った。なお、同研究では、③に①としてエナラプリルが、または、②としてテルミサルタンが投与され、投与前と投与から30日目で代謝産物の濃度が測定されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆タンパク尿を伴う慢性腎臓病の犬に対するACEiとARBの効果◆
・④に比べて③の投与前ではアンジオテンシンI、III、1-5、1-7の濃度が有意に高かった
・加えて③ではアルドステロン/クレアチニン比(UACR)が有意に高かった
・①を投与された③では投与後30日目にアンジオテンシンII濃度が有意に減少した(ACEiが作用している)
・②を投与された③では投与後30日目にアンジオテンシンII濃度が有意に増加した
・①に比べて②を投与された③では投与前後のアンジオテンシン1-7濃度の変化率が有意に高かった(有益な反応)
・①②を投与された③では投与30日目にアルドステロン濃度が有意に減少した(両薬剤に差異は無い)

 

上記のことから、①に比べて②において有益な反応が強いことが窺える。よって、①を投与している症例で期待する治療結果が得られていない場合は、②の使用を検討することをお薦めする。

エナラプリルは0.5 mg/kg PO q12、テルミサルタンは1mg/kg PO q24hで投与されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39206534/


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