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動物医療に関係する様々な立場の人々に犬が感じる痛みを評価してもらった研究

投稿者:武井 昭紘

獣医学に限らず、様々な分野で専門知識を持つと、そのヒトの思考・行動は一般人のそれと異なるようになる。正しい知識の基に冷静で科学的な判断を下せるのだ。そこで、疑問が浮かぶ。この専門知識の差は、動物が感じる痛みの評価に影響を与えるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、イギリスの大学および動物病院らは、①獣医学部生、②動物看護師、③獣医師、④麻酔専門医に犬が感じている痛みを評価してもらう研究を行った。なお、同研究では、Glasgow Composite Measure Pain Scale(CMPS)という疼痛評価スケールの縮小版(CMPS-SF)を用いて疼痛のレベルが判定されている。また、研究に参加した犬は大学付属動物病院に来院した症例で、彼らの様子を撮影した動画を①~④が視聴する形式で痛みが評価されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆①~④が評価する犬の痛み◆
・45匹の犬の痛みを評価した
・全体として①~④の一致性は乏しかった(0.494)
・評価者間の一致性が最も高かったのは②であった(0.656)
・次いで④(0.540)、③(0.478)、①(0.432)が続いた
・グループ間の一致性が高かったのは②と③、②と④であった(0.951)
・②~④に比べて①は鎮痛剤を追加投与する必要性を訴える傾向が強かった

 

上記のことから、②の評価者間の一致性が比較的高く、②の評価は③④に近いことが窺える。よって、仮に獣医師(読者の皆様)が評価した犬の痛みが動物看護師の評価よりも軽度であった場合は、動物看護師の評価を重視することが望ましいと思われる。

経験の浅い新人獣医師、新人看護師は①に近い評価を下す可能性がありますので、痛みの評価に自信が持てない場合は上級獣医師・看護師に相談しましょう。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39199844/


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