現代の獣医学において、犬猫の痛みを評価するスケールは数多開発されている。しかし、これらのスケールの殆どは、あくまでも動物医療に従事する専門家(獣医師、動物看護師)に向けて作られているのが現状である。つまり、ペットの痛みに最初に直面するであろうオーナーに向けたものではないのだ。だが、ペットを世話するヒトが彼らの痛みに気が付き、彼らを動物病院に連れて来てくれない限りは専門家になす術は無いのが現状である。如何に気が付いてもらい、動物病院を訪れてくれるか。それが獣医学の課題なのだ。
冒頭のような背景の中、アメリカの大学らは、コロラド州立大学が提唱する疼痛スケールを犬のオーナーにレクチャーし、彼らの痛みに対する認識の変化を調べる研究を行った。すると、360名以上のデータが集積され、多くのオーナーが下記に示すような利点を述べたという。
◆疼痛スケールを知った後のオーナーの認識◆
・犬が感じている痛みのレベルを判定することにスケールが役立った(オーナーの89%)
・動物病院に犬を連れていくべきかの判断に役立った(84%)
・犬が感じている痛みについて獣医師に説明することに役立った(89%)
上記のことから、痛みを評価するスケールに関する知識を得れば、オーナーが愛犬の痛みに気が付き、動物病院を受診する必要性も判断できることが窺える。よって、オーナーが実践しやすい評価スケールが体系化・統一化され、痛みを感じている犬が獣医師の診察を受けやすい状況が整備されることを期待している。

本研究では痛みを感じているかも知れない犬をすぐに動物病院に連れていかない理由もオーナーに訊いており、医療費、受診までの手間、診察に起因する犬のストレスがネックになっていたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39032508/


