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シーズーの外頚静脈に起きる変異(正常とは異なること)について調べた研究

投稿者:武井 昭紘

『あぁー、採れない。』
『というより血管がどこにあるのか分からない。』
『この犬の頚静脈はどこにいったのか。』
『もしかしたら、無いのだろうか?』
『いや、そんな訳は・・・。』
『しかし、全く分からない。』

 

このような経験をした獣医師・動物看護師はおられるだろうか。血管が無いなんて、「あり得ないこと」まで考える程に追い詰められたことはあるだろうか。だが、本当に「そう」であろうか。もしも、血管が無いことが真実であれば、いくら採血に挑戦しても失敗に終わるということはないだろうか。無論、確かめたことがない疑問に答えは無い。しかし、この度、血管の変異(正常とは異なること)を想定し調べた研究が韓国の建国大学校らより報告された。果たして、頸動脈が無いことはあり得るのか。真実は以下の通りである。

◆シーズーの外頚静脈に起きる変異(正常とは異なること)◆
・頚部の横断面をCT検査で撮影した
・外頚静脈の形態と直径を観察した
・外頚静脈の状態を①正常、②片側の低形成、③片側の無形成、④両側の低形成、⑤両側の無形成に分類した
・547匹のシーズからデータを取得した
・約78%(428匹)は①であった
・約22%(119匹)で変異を認めた
・母集団の8.4%(46匹)が②であった
・7.5%(41匹)が③であった
・2.6%(14匹)が④であった
・3.3%(18匹)が⑤であった
・②~⑤では外頚静脈の機能を内頚静脈が代償していた
・内頚静脈以外にも機能を代償する血管があった
・外頚静脈と内頚静脈の直径は負の相関関係(中程度)にあった
・胸部CT検査データがある529匹のうち63匹で左前大静脈(PLCVC)の遺残を確認した。
・PLCVCは外頚静脈の変異と有意に関連していた

 

上記のことから、シーズーにおいて頚静脈の変異は珍しくないことが窺える。また、無形性、つまり外頸動脈が無い個体も存在していることが分かる。よって、同品種の採血で頸動脈が触知できない場合は反対側の頚静脈を探し、それでも触知できない場合は他の血管から採血をする決断を下すことをお薦めする。

プードル、フレンチ・ブルドッグ、シェットランド・シープドッグでも頸動脈の変異が確認されております
(未発表の研究)。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2024.1464750/full


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