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イタリアのシェルターに保護された犬が輸血のドナーになる可能性

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床で遭遇する輸血療法が必要な疾患に対して、利用できる輸血製剤の量は絶対的に、且つ、慢性的に足りていない。そのため、国全土をカバーする血液バンクの設立や、ドナーとなる動物の確保が喫緊の課題となっているのだ。とはいえ、前者であれ後者であれ、実現することは非常に難しい。どのように課題を解決するか、まずは案を出す必要があるのである。

 

そこで、イタリアのカメリーノ大学は、同国中部に位置する2つのシェルター(①トレンティーノ、②カメリーノ)に保護されている犬を対象にして、ドナー候補となり得る犬の頭数を調べる研究を行った。なお、同研究では、イタリアで発表されている動物の輸血に関するガイドラインの基準を満たす犬をドナー候補としている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆イタリアのシェルターに保護された犬が輸血のドナーになる可能性◆
・①に属する206匹の約61%がドナーの基準を満たしていた(③)
・新型コロナウイルスのパンデミックやシェルター内の頭数の変化により③の約22%、28匹が最終候補となった
・②に属する149匹の約11%がドナーの基準を満たした(④)
・③の25%、④の約29%がDEA1陰性であった
・高齢であることを理由に除外される犬が多かった(①の約25%、②の約40%)
・①の1匹、②の44匹が行動(性格)上の問題でドナーに不向きと判断された

 

上記のことから、シェルターに保護された犬の一定割合がドナー候補になり得ることが窺える。よって、今後、ドナー候補が殺処分を免れるシステム、ドナー候補を飼育するボランティア制度が構築され、小動物臨床における輸血製剤の不足が解消されることを期待している。

動物の輸血に関するガイドラインにつきましては、リンク先の論文をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39308738/


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