超音波検査は、動物の体内を具に観察するための優れた機器であり、様々な病気に応じて変化する器官や組織の所見が診断・治療に活用されている。一方、話は変わるが、慢性腎臓病に伴って高窒素血症を発症した猫は生命の危機に晒されることがあり、適切な治療を受けなければ亡くなってしまう可能性があるのだ。しかし、治療を受ければ助かるという保証も無いのが現状である。そこで、疑問が浮かぶ。高窒素血症の転帰が良好な猫と、そうではない猫の腎臓を超音波検査で観察すると何らかの違いが描出されるのだろうか。
冒頭のような背景の中、台湾の国立中興大学らは、入院加療となった高窒素血症(軽度〜重度)の猫を対象にして、腎臓の超音波検査であるアーティファクトの有無を確認する研究を行った。なお、そのアーティファクトとは、cortical anisotropy backscattering artifact(CABA)と呼ばれるもので、超音波のビームを尿細管に垂直に当てた時の長軸あるいは単軸断面における高エコー源性の領域のことである。また、この領域は検査画面の3時と9時の方向の腎皮質に局所的に現れるという(百聞は一見にしかずである。リンク先の超音波検査画像をご覧頂きたい。)。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことだ。
◆高窒素血症の猫の転帰と腎臓の超音波検査所見 ◆
・重度の高窒素血症の猫における転帰とCABAの有無は有意に関連していた
・CABAが観察されることは良い転帰を予測した
・その感度は約81%、特異度は約74%であった(中程度の症例を含む)
・対して軽度の猫では関連性は無かった
・検査を実施した人物の間でCABAの判定は一致していた
上記のことから、CABAの有無は罹患猫の転帰を判定する指標になることが窺える。よって、今後、CABAの有無が病期分類に組み込まれ、治療方針の決定に活用されるようになることを期待している。

片側であれ両側であれ、CABAが確認された場合は「有り」と判定されております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39081140/


