犬の肝臓に腫瘤の存在が疑われた時、位置と正体を突き止めるべく精査が検討され、その精査の一つに挙げられるものが画像診断である。しかし、開腹して肉眼で確かめることと比べれば、この画像診断は多かれ少なかれ精度が落ちるのが現状である。では実際のところ、どれ程に精度が落ちるのだろうか。
冒頭のような背景の中、アメリカおよびオーストラリアの大学らは、肝臓腫瘤が疑われる犬60匹以上のCT画像を4名の放射線科医に提示し、腫瘤の位置を判定してもらう研究を行った。すると、腫瘤の数にして75件(4名でのべ300件)が判定され、以下に示す事項が明らかになったという。
◆CT画像を用いて犬の肝臓腫瘤の位置を判定した時の精度◆
・部位(右、左、中央)で判定した場合の精度は88%であった
・肝葉で判定した場合は約74%であった
・肝臓の左側にある腫瘤の判定では精度が約90%であった
・肝臓の中央にある腫瘤の判定では約77%であった
・肝臓の右側にある腫瘤の判定では約88%であった
・方形葉にある腫瘤の判定では約41%であった
・尾状葉では約79%であった
・内側左葉では約73%であった
・外側左葉では約90%であった
・外側右葉では約48%であった
・部位別の判定では放射線科医の意見が非常によ一致した
・一方で肝葉別では中程度の一致であった
上記のことから、画像診断のスペシャリストをもってしても、100%の精度で肝臓腫瘤の位置を特定することを難しいと言える。よって、部位別の判定よりも肝葉別の判定の精度が落ちることを心得て、肝臓腫瘤の画像診断を「参考」にし、鵜呑みや断定をせずに診療にあたって頂けると幸いである。

個人の位置判定に自信が無い時は、他者(専門家)の意見も伺ってみましょう。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39057837/


