犬の外耳炎を治療する点耳薬の一部にはステロイド剤が含まれる。そこで、疑問が浮かぶ。外耳炎の原因の一つにアレルギーが挙げられる。仮にステロイド剤が配合された点耳薬を投与された犬においてアレルギー検査をする場合、ステロイド剤の効果で検査結果は変わるのだろうか。変わるのであれば、検査をしない方が良い期間とはどれくらいであろうか。
冒頭のような背景の中、イリノイ大学は、①臨床上健康な耳を持つ犬と②外耳炎の犬を対象にして、点耳薬の使用の前後に皮内試験(③ヒスタミン、④抗イヌIgEポリクローナル抗体、生理食塩水の3種類を2ヶ所ずつ皮内注射)を実施する研究を行った。なお、同研究ではモメタゾンを配合した長時間残留する点耳薬が採用されており、薬剤使用前から使用6週間後に渡って週1回の皮内試験が実施されている。また、皮内試験の結果は主観的スコア(従来の手法、5段階評価)と客観的スコア(膨疹のサイズ、紅斑および硬さの3段階評価の積)で数値化されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆モメタゾンを配合した点耳薬を投与された犬の皮内試験◆
・①における③の皮内試験で主観的スコアが有意に減少した(1週目と2週目)
・②における③の皮内試験で主観的スコアが有意に減少した(1、2、4週目)
・③の皮内試験のうち客観的スコアは①でのみ減少した(1、2、3、5週目)
・両群における④の皮内試験で主観的スコアが有意に減少した(1週目)
・一方で④の客観的スコアに有意な変動はなかった。
上記のことから、同大学は、外耳炎の犬にモメタゾンを配合した点耳薬を投与した場合は4週間以上の休薬期間を設けて皮内試験するこが望ましいと述べる。よって、該当する症例のアレルギー検査を検討している獣医師は、本研究を参考にして頂けると幸いである。

①は17匹、②は12匹で構成されていたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39036951/


