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犬の副腎機能亢進症を診断し彼らの治療経過を評価するバイオマーカーの開発

投稿者:武井 昭紘

過剰にコルチゾールが分泌される病態の影響で、副腎機能亢進症(hypercortisolism、HC)を抱えた犬の血液に含まれる細胞成分の測定値は変動するとされている。つまり、CBCから得られる所見には、HCを疑うキッカケになるヒントが隠れているのだ。そこで、疑問が浮かぶ。このCBCを利用して、当該疾患の診断(他の疾患との鑑別)は可能であるだろうか。また、治療によってコルチゾールの過剰分泌が是正された場合、CBCの値は正常化すると仮定するならば、当該疾患の治療効果判定にもCBCが利用できるのではないだろうか。

 

冒頭のような背景の中、韓国の大学らは、①臨床上健康な犬、②HC以外の病気を抱える犬、③HCと診断された犬を対象にして、彼らの好中球/リンパ球比(neutrophil-to-lymphocite ratio、NLR)と血小板/リンパ球比(platelet-to-lymphocyte ratio、PLR)を算出する研究を行った。なお、同研究では、トリロスタンによる治療の前後における数値の変化もチェックされている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆HCと診断された犬のNLRとPLR◆
・NLRのカットオフ値を4.227にすると感度67%、特異度66%で②と③を鑑別できる
・PLRのカットオフ値を285.0にすると感度57%、特異度71%で②と③を鑑別できる
・経過が良好な③のNLRは有意に低下する
・NLRの変化率のカットオフ値を-7.570%にすると感度100%、特異度64%で治療効果判定ができる

 

上記のことから、NLRとPLRは、犬のHCの診断および治療効果判定の補助をするバイオマーカーになり得るを言える。よって、今後、既存の診断アルゴリズムにNLRとPLRを組み込む試みがなされ、誤診をしやすい当該疾患の診断精度が向上することを期待している。また、NLRの変化率、臨床症状・臨床検査所見の改善を組み合わせた治療効果判定法が確立されることを願っている。

①は39匹、②は58匹、③は67匹で構成されていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38964539/


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