微生物が生成する乳酸をD-乳酸と呼ぶ。この物質は、哺乳類の消化器に存在する細菌によっても生成されるもので、犬のパルボウイルス感染症や猫の消化器疾患で増加することが知られている。そこで、疑問が浮かぶ。免疫機能や腸内細菌が複雑に絡み合う犬の炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease、IBD)では、D-乳酸の生成は増加するのだろうか。
冒頭のような背景の中、イタリアの大学らは、①臨床上健康な犬と②IBDと診断された犬の血清中に含まれるD-乳酸の濃度を測定する研究を行った。なお、同研究では市販のキットを用いてD-乳酸濃度を測定している。すると、両群で有意差は認められないものの、①に比べて②のD-乳酸濃度の変動の幅は大きいことが判明したという。
この変動の幅が大きいことは、何を意味しているのか。今後、臨床的な意義を解明する研究が進み、犬のIBDの診断や治療に新たな見解が追加されることを期待している。

本研究に参加したIBDの犬の血清サンプルは、-80℃で保存されていたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38891751/


