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猫回虫を構成する成分とアレルギー性の気道の炎症に関する研究

投稿者:武井 昭紘

一説によると、現代の都市を生きる日本人は行き過ぎた衛生状態の下で生活を送っているという。自然との接触が最小限で土に触れる機会も無く、ウイルスや細菌、寄生虫に曝露される可能性が極端に低いようなのだ。結果として、矛先を失った免疫力が「あらぬ方向」へと進んでしまった。花粉を攻撃するようになったのである。花粉症はこうして誕生したと囁かれる。つまり、衛生環境が整備されていない時代に、自然から受け取っていた病原体が花粉症の脅威を抑えていたというのだ。果たして、この説は正しいのだろうか。あるいは都市伝説の類なのだろうか。真偽の程は。

 

冒頭のような背景の中、イランの大学は、同国の首都に次いで第二の都市と言われるマシュハドで暮らすストリート・キャットから回収した猫回虫(成虫)の体細胞抽出液をマウスに投与する研究を行った。なお、同研究に用いたマウスは、①卵白に含まれるアルブミン(ovalbumin、OVA)で感作されたグループ、②OVAでの感作とともに体細胞抽出液を投与したグループ、③生理食塩水を投与されたグループの3つに分けられている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫回虫の体細胞抽出液とマウスの気道の炎症◆
・①に比べて②の細気管や血管の炎症、肺組織における好酸球の浸潤が大幅に減少した
・②では炎症に関与する細胞の数も減少していた
・この減少は炎症性サイトカイン(IL-4、IL-5)の減少と抗炎症性のサイトカイン(IL-10)の増加に裏付けされていた

 

上記のことから、猫回虫の体細胞抽出液にはアレルギー性の気道の炎症を抑える成分が含まれていることが窺える。よって、今後、抽出液からアレルギー治療薬を開発する研究が進み、ペットのアレルギー性疾患が確実に制御できる未来が訪れることを期待している。

3年をかけて180匹以上の猫から30匹以上の猫回虫が集められたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38860753/


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