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アゾール系抗真菌薬に耐性をもったマラセチアの犬における感染状況と遺伝子解析

投稿者:武井 昭紘

抗生剤が効かない細菌、いわゆる耐性菌が存在するように、抗真菌薬が効かない真菌、例えばアゾール系薬剤に耐性を持ったマラセチアが存在している。これは、小動物臨床において由々しき事態である。しかし、この耐性を持ったマラセチアの感染状況や遺伝子情報は乏しいのが現状である。果たして、同真菌は犬の外耳炎や皮膚病の原因として蔓延しているのだろうか。

冒頭のような背景の中、マドリード・コンプルテンセ大学は、過去2年間に大学付属動物病院に入院した犬に起きた外耳炎または皮膚病から分離されたMalassezia pachydermatisを対象にして、遺伝子解析を行う研究を行った。なお、同研究では、アゾール系抗真菌薬のターゲットであるERG11というタンパク質をコードする遺伝子に着目している。すると、分離株の約12%においてERG11のアミノ酸配列が変わる遺伝子の多様性が生じており、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、および/またはボリコナゾールなどの複数のアゾール系抗真菌薬に対する感受性が低下していることが判明したという。

上記のことから、マラセチアにも耐性株が存在しており、実際の臨床現場にて外耳炎や皮膚病の原因となっていることが窺える。よって、今後、この耐性株の拡大を追跡する研究が進むとともに、耐性株に対する対処方法がガイドラインに纏められることを期待している。

普段使用している抗真菌薬でコントロールできない犬のマラセチア性外耳炎や皮膚炎に遭遇している獣医師は、耐性株の存在を疑う必要があるかも知れません。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38734886/


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