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帝王切開の最中に又は術後に死亡した犬の統計学的解析

投稿者:武井 昭紘

出産は母体にとっても、胎児にとっても命懸けである。その中でも、帝王切開は麻酔と手術のリスクが重なり、通常の出産よりも更に命懸けになる緊急事態なのだ。つまり、帝王切開は死と隣り合わせにあると言える。では実際のところ、この処置で亡くなった母体には何が起きているのだろうか。また、その亡くなる要因は防げるものなのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、リバプール大学は、帝王切開の最中、あるいは、帝王切開後に死亡し、7日以内に剖検された犬17匹のデータを解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆帝王切開に関連して死亡した犬の統計学的解析◆
・94%の症例に子宮を温存する術式が適応されていた
・71%が短頭種であった
・35%が帝王切開の最中に死亡した
・65%が帝王切開から4〜48時間後に死亡した
・最も一般的な死因は敗血症であった
・敗血症の原因となった主な細菌はStreptococcus canisと大腸菌であった
・その他の死因は下記の通りであった
1.短頭種気道症候群に関連した呼吸トラブル(24%)
2.出血性ショック(18%)
3.胃拡張・捻転症候群(6%)
4.原因が特定されていない(12%)

・58%の症例の子宮に下記の病理組織学的な異常所見が認められた
1.強い炎症(異常所見の60%を占める)
2.重度の出血(20%)
3.強い炎症と重度の出血の両方(20%)

・炎症の多くは急性(術後に起きたもの)であった
・炎症は腹膜、筋肉、脂肪織、手術部位の周囲に起きていた
・手術部位の炎症は医原性(子宮内腔の細菌が手術で広がった)であった

 

上記のことから、短頭種であること(気道症候群を抱えていること)、敗血症、医原性の細菌感染、出血が帝王切開に関連した死亡リスクとなっていることが窺える。よって、今後、短頭種の周術期管理の見直し、および、敗血症・細菌感染を防止して出血を抑える術式の開発が進み、帝王切開で死亡する犬が1匹でも減ることを願っている。

研究対象となった短頭種は主にフレンチ ブルドッグ、イングリッシュ ブルドッグ、ボストン テリア で占められていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38636281/


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