麻酔のリスクの一つに低血圧が挙げられる。重度であれば、処置・手術を中止せざるを得ない重大なリスクである。では実際のところ、どのような条件・ファクターにおいて低血圧は発生するのだろうか。それを把握して心構えをし、対策を講じることが大切だと言える。
冒頭のような背景の中、イギリスの大学およびチャリティ団体PDSA(People’s Dispensary for Sick Animals)らは、低血圧に着目して、犬の麻酔記録1700件以上を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆全身麻酔が掛けられた犬が低血圧に陥るリスクファクター◆
・徐脈(約1.4倍)、外科処置(約1.6倍)、短頭種(約1.7倍)、麻酔リスクASAが3以上(約2倍)で低血圧のリスクが上昇した
・体重が増加するにつれてリスクが低下した(10kgごとに約0.7倍)
・α2作動薬の使用(約0.6倍)、麻酔中の体温上昇(約0.8倍)でリスクが低下した
上記のことから、体重が軽い犬、短頭種、ASAのクラスが高い犬の麻酔では低血圧を警戒し、徐脈への対応を迅速に、且つ、正確に判断することが望ましいと思われる。よって、条件に該当する麻酔管理では、血圧のモニタリングを欠かさないように注意することをお薦めする。

α2作動薬の使用につきましては、コントロールができない低血圧に陥るリスクがあるとする研究も報告されておりますので、慎重に検討して頂けますと幸いです。
参考ページ:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jsap.13671


