理論的には、隣接する臓器のどちらかに炎症や病気が生じると、他方も影響を受けることがあるとされている。その一例が胆道系と膵臓である。具体的には、犬の慢性胆道系疾患(chronic biliary tree disease、CBTD)は膵臓にダメージを与えると考えられているのだ。では実際のところ、この説は正しいのだろうか。
冒頭のような背景の中、イタリアのピサ大学は、CBTDと診断された犬における膵臓損傷の発生状況を調べる研究を行った。なお、同研究では、CBTDをALP、GGT、TBIL、TCHO、胆管系の超音波検査のうち少なくとも2つに異常が認められる場合と定義している。また、膵臓の損傷程度は超音波検査で確認されている。すると、81例のデータが集まり、以下に示す事項が明らかになったという。
◆犬のCBTDと膵臓損傷◆
・25例がCBTDであった
・56例がCBTDに膵臓損傷を伴っていた
・そのうち20例が膵炎であった
・胆道系の超音波検査所見と膵臓損傷には関連性はないようであった
・血液検査パラメータとの関連性も見出せなかった
上記のことから、CBTDの犬の膵臓にダメージが生じている場合、膵炎よりも膵臓損傷の方が可能性が高いことが窺える。よって、今後、膵臓損傷の定義を決定する議論が進むとともに、この損傷の臨床的意義について更なる研究が計画されることを期待している。

膵炎を認めた20例のうち、5例は急性、15例は慢性だったとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38473180/


