鼻孔狭窄は短頭種気道症候群(Brachycephalic Obstructive Airway Syndrome、BOAS)の発症要因となる解剖学的な異常で、その程度に基づき軽症〜重度まで分類されている。しかし、この程度は鼻孔の一瞬の形状、いわば「静止画」で評価をすることが一般的である。一方、鼻孔は呼吸に合わせて常に動いている場所だ。ならば、その可動性、いわば「動画」で評価すべきなのではないだろうか。
冒頭のような背景の中、イギリスおよび台湾の大学らは、過去9年間(2012年〜2020年)に高次診療施設を訪れ、且つ、BOASの評価を受けた犬を対象にして、彼らの鼻孔の可動性を観察する研究を行った。なお、同研究では、短頭種ではない犬の鼻孔の可動性も観察し、コントロール群(可動性100%)のデータとして利用している。すると、970匹を超える短頭種のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。
◆短頭種の鼻孔の狭窄と可動性◆
・約13%の鼻孔は狭窄していなかった(①)
・①の可動性は約69%に低下していた
・約22%の鼻孔は軽度に狭窄していた(②)
・②の可動性は59%に低下していた
・約39% の鼻孔は中程度に狭窄していた(③)
・③の可動性は35%に低下していた
・約26%の鼻孔は重度に狭窄していた(④)
・④の可動性は約19%に低下していた
・狭窄の程度と可動性は有意に関連していた
・①②と比べて③④の鼻孔の可動性は有意に悪かった
上記のことから、鼻孔狭窄と鼻孔の可動性は関連があり、その可動性の低下がBOASの発症にも関与している可能性が示唆されたと言える。よって、今後、鼻孔の可動性を低下させる骨格について研究が進み、繁殖計画の見直しや新しい外科的治療(術式)の開発へと繋がることを期待している。

コントロール群に属する犬たちは、研究に参加した短頭種が訪れた施設とは別の高次診療施設から集められたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38401643/


