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成犬の僧帽弁疾患・肺高血圧症と赤血球・血小板に纏わる数値の関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

肺高血圧症(pulmonary hypertension、PH)は、循環器および呼吸器の疾患における一般的な合併症で、人医療では、MCV、MCH、MCHC、赤血球分布幅 (RDW、赤血球のサイズの「ばらつき」を数値化したもの)、平均血小板体積 (MPV)、血小板分布幅 (PDW、血小板のサイズの「ばらつき」を数値化したもの) など赤血球や血小板に纏わる数値がPHを予測し、その予後を判定すると言われている。そこで、疑問が浮かぶ。犬の僧帽弁疾患にもPHは続発する。赤血球や血小板に纏わる数値は、犬のPHを予測し、その予後を判定することに利用できるだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカおよびタイの獣医科大学らは、240匹以上の犬を対象にして、前述した数値の比較をする研究を行った。なお、同研究では、犬を①臨床上健康なグループ、②僧帽弁疾患を有するグループ、③PHを発症したグループ、④PHを伴う僧帽弁疾患を抱えるグループの4つに分けている。また、②は更にステージB1、ステージB2、ステージCに細かく分類されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆成犬の僧帽弁疾患・PHと赤血球・血小板に纏わる数値の関連性◆
・全群(①~④)の間でMCV、RDW、MPVに有意差は認められなかった。
・①に比べて②~③のMCH、MCHCは有意に減少していた。
・①に比べて②のステージB2およびCではMCHが有意に減少していた
・①に比べて②の全ステージでMCHCが有意に減少していた
・①に比べて④のPDWは有意に減少していた
・①と②のステージB1に比べて②のステージCではPDWが有意に減少していた
・MCH、MCHC、PDWは左心房・左心室のサイズと負の相関関係にあった

 

上記のことから、赤血球や血小板に纏わる数値の一部(MCH、MCHC、PDW)は、犬の僧帽弁疾患や肺高血圧症と何らかの関連を有していることが窺える。よって、今後、これらの数値を用いたPH発症予測法、予後判定法が確立されることを期待している。

①は49匹、②は102匹、③は17匹、④は78匹で構成されていたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1234768/full


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