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タンパク漏出性腸症の犬の転帰を予測するundernutrition screening score

投稿者:武井 昭紘

犬のタンパク喪失性腸症(protein-losing enteropathy、PLE)は、炎症性腸疾患やリンパ管拡張症に起因して発生し、文字通りタンパク質を失っていく病気である。そのため、理論的には罹患犬が栄養不良となり、それが転帰に影響すると考えられるのだ。しかし、実際に「そう」なるのか、あるいは、他に予後を悪くするファクターがあるのかについて詳しく分かっていない。

 

冒頭のような背景の中、欧米の獣医科大学らは、食欲、体重の減少、体型、筋肉と被毛の状態を15点満点で評価する栄養不良スコア(undernutrition screening score、USS)を開発して、イギリス国内にある高次診療施設3軒を訪れたPLEの犬50匹以上を評価する研究を行った。なお、スコアは高いほど深刻な栄養不良と判定されている。また、評価のタイミングは診断時であり、以降6ヶ月間の経過が追跡されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆PLEの犬のUSSと転帰◆
・6ヶ月以内に寛解した症例に比べて寛解しない症例のUSSは高かった
・USSによる寛解の可能性を判定する精度は0.656であった(1が最も高い)
・epaxial muscle lossと被毛の状態に絞ったスコアの精度は0.728に上がった

 

上記のことから、USSはPLEの犬の転帰を予測する有用なシステムだと言える。しかし一方で、評価対象になるスコアを変えることで精度が変化することも分かる。よって、今後、最も高い精度を誇る評価項目を特定する研究が進み、PLEの犬の治療方針がより効率的に決定されるようになることを期待している。

6ヶ月以内に寛解した症例のUSSは中央値で5、寛解しなかった症例のUSSは中央値で7.5だったとのことです。

 

参考ページ:

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jvim.16794


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